2020年4月14日入会、「けんじ先生」こと齋藤兼司です。

2021年5月7日にコアバリューがアップデートされ「コアバリュー3.0」となりましたが、それについて最近思うことがありましたので、コラムという形でその思いを述べさせていただきます。

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5月7日にコアバリューがアップデートされ、「コアバリュー3.0」となった。

「抜け道より正攻法を、

 批判より提案を、

 心配より応援を。

 そしていつでも、強さと優しさを。」

非常にシンプルだが、その考え抜かれた言葉は心に深く刺さる。

このコアバリュー3.0の中で、今回は特に2つ目の「批判より提案を」について書きたい。

■批判のジレンマ

私の主な居場所は「PROGRESSの廊下」と呼ばれるPGツイッターだが、そのツイートを朝から晩までチラチラと眺めていると、少し心配になるツイートを見かけることもある。

それは「批判より提案を」の逆をいく「批判オンリー」のツイートだ。これを「批判A」とする。

そのようなツイートを見た時に心が少しざわつき、コアバリューを盾に取り「いやいや、批判オンリーのツイートはダメでしょ。批判よりも提案をしないと」と言いたくなってしまう自分がいる。その意見を「批判B」とする。

だが、ここで考えたいのは「批判A」に対する「批判B」の意味だ。

「批判オンリーはおかしい」という「批判B」を出すと、それ自体が「批判オンリー」の「批判」となってしまうというジレンマに陥る。

これを「囚人のジレンマ」ならぬ「批判のジレンマ」と名付けたい。

このようにメンバー同士が「批判」を取り締まり、「批判」に対して過剰に感情的な反応してしまうと、かえって批判を増やしてしまうという悪い結果が生まれてしまう可能性が高い。

■批判撲滅運動のリスク

100年前にアメリカで始まった「麻薬撲滅運動」がかえって麻薬依存症を増やし、ギャングに麻薬売買の特権を与えてしまったという衝撃の事実をご存知だろうか。

このことについては、ヨハン・ハリ著「麻薬と人間 100年の物語」に詳しく書かれているのだが、麻薬を厳しく取り締まり、撲滅させようとすると麻薬の取り扱いが地下に潜り、価格が高騰し、ギャングの資金源になり麻薬戦争が激化してしまったという。1920年にアメリカで施行された「禁酒法」が密造と密売を横行させてしまったという事実からもこのリスクは実在する。

もしPROGRESS内で「批判撲滅運動」をしたら、かえって批判が地下に潜り、親しくなったメンバー間同士で批判が密造・密売され、お互いに「どこかで批判されているのではないか」と疑心暗鬼になり、せっかく出来上がってきたコミュニティ文化「強くて優しい」が壊れてしまうリスクがあるのだ。

では、そういった批判オンリーの「批判A」に対しては、どのように扱うのが正解なのだろうか。これは一個人としての意見なので、それぞれがまた違った考え方をして違う正解にたどり着くこともあるだろうが、コアバリュー3.0に則り、私なりの「提案」をしてみたい。

■ポジティブ・レインフォースメントとネガティブ・レインフォースメント

心理学用語でもある「ポジティブ・レインフォースメント」というものがある。教育に携わっている者であれば聞いたことがある人も多いのではないだろうか。日本語に直すと「正の強化」となる。その逆は「ネガティブ・レインフォースメント(負の強化)」である。

この「ポジティブ・レインフォースメント」は動物のしつけ、特にドッグトレーナーの間で日常的なトレーニング法として知られているそうだが、「正の強化=褒めてしつける」「負の強化=叱ってしつける」ということではない。

「正の強化」とは、”正しい行いを持続して自ら行えるようにする”という意味合いがある。

分かりやすく子供のしつけで例えてみよう。

例えば、晩御飯の後、まだ歯磨きをしていない子供がウトウトしていたとする。親は歯磨きをしてから寝るべきだと考えているので、「歯磨きをしないで寝たら虫歯になっちゃうからダメだよ」と叱る。

すると、子供は歯磨きをしにいき、歯磨きをし終えたら「ちゃんと歯磨きできたね」と笑顔で子供を褒める。

この時、親は「やっぱり子供は褒めたらできるようになる」と心のなかでつぶやくが、これは「ポジティブ・レインフォースメント」ではない。

なぜなら、子供は「歯磨きをしないで寝たら虫歯になっちゃうからダメだよ」とネガティブな影響を言われたことに反応しただけだからだ。

「ポジティブ・レインフォースメント」では「自発的に正しい行いをする時に、ストレスがあってはいけない」という考え方が基本となる。

そのため、親から「歯磨きをしないと虫歯になっちゃう」と言われてから自分で歯磨きをするようになった子供は、自発的に歯磨きをしていることにはならない。

歯を磨かないことによるネガティブな影響を伝えることで、その悪影響が嫌だから歯磨きをするのではなく、「歯磨きをすることで、とても歯がきれいになり気持ちよくなる。」ということを伝えることで自発的に歯を磨くような可能性を高めていくのが正しいポジティブ・レインフォースメントなのだ。

■北風と太陽

これをPROGRESS内の「批判」に当てはめてみたい。

「批判はダメでしょ」「批判をするとメンバーから嫌われて、コミュニティに居づらくなるよ」というように「負の強化」で批判を減らし提案をさせようとしても、それは「自発的に批判よりも提案をしている」ことにはならない。

そうではなく、「批判よりも提案をするとこんなに良いことがある」と伝えていくことが大切なのではないだろうか。

先日、YouTube大学の授業収録で「お酒をやめる」という題材を扱ったが、お酒を飲んでいる人にあの授業動画を見せ、「ほら、お酒を飲むとアセトアルデヒドが暴れて大変なことになる」と言ってお酒を飲んでいることを【批判】すると、その人は「禁酒なんかするもんか」と怒って拗ねてしまう結果になる可能性が高い。

逆に、「お酒の量を減らすとこんなに良いことがあるみたいだよ」と【提案】すれば、「それなら少し減らしてみようかな」という気持ちになることだろう。

PROGRESS内の「批判」については、「北風と太陽」の寓話にあるように「優しく暖かく包んであげる」方がいいのではないだろうか。

具体的な話をすると、もしメンバーの誰かが「PROGRESSのこういうところはおかしい」と「批判A」を出したときには、それに対して感情的に反応してして北風を吹き付けて心を頑なにさせてしまう前に、冷静にその「批判A」を一度受け止めるということだ。

そのうえで、「なるほど、そのようにお考えになるのですね。それではそのことについてこういった新たな提案をされてみてはいかがでしょうか」という「提案」をしてみるのだ。

こうすることで、「批判A」に対して「批判B」をぶつけてしまうという不毛な「批判合戦(批判撲滅運動)」から抜け出し、互いの意見を尊重し合い、提案に持っていく「建設的な意見交換」ができるはずだ。

実際、最初に投げられた「批判A」の中には、検討するべき大切な意見も含まれている可能性が高い。それを「批判オンリーはダメでしょ」と一刀両断してしまうと、その意見を吟味するという貴重な機会をも失ってしまう。

PROGRESS10000人時代に向け、多種多様な考えを持ったメンバーが集まるコミュニティだからこそ、なぜ中田さんが「抜け道、批判、心配をしてはダメ」というようにネガティブ・レインフォースメントにとどまらずに「正攻法、提案、応援」というポジティブ・レインフォースメントを示したのか、今一度一人ひとりが考えることが大切なのだと思う。

そのうえで、一人ひとりがいつでも「強さと優しさ」を持つようになったら、メンバー全員が居心地の良い「最高のコミュニティ」が出来上がっていくのではないだろうか。

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長文をここまで読んでくださりありがとうございました。