このコラムは岡本裕樹とササタニヤスヒコさんの信頼関係があって書かれています。
出会ったばかりは仲が悪くとも、その後に仲良くなれることを実際の経験からコラムにしています。

絶対にこの男とは関わり合いになりたくない。
それが彼への第一印象だった。

2020年5月3日
僕が初めて、ササタニヤスヒコという男の存在を認識した日だ。
当時、入会したばかりのメンバーが所属するビギナークラスのグループが存在した。そこの自己紹介スレッドに、彼はこう書いていた。
「僕は少しサイコパスです」
なんだかヤバそうな奴がいる…。
その数時間後、8ステップを誰よりも早く駆け上り、TV配信を始めていた。
「PROGRESSは価値が高いサロンやなぁ~思いますねぇ~」
妙に上から目線で、全てを分かった風な態度にイライラした。

僕が入会してからササタニヤスヒコが入会するまでの二ヶ月間、自分で言うのもなんだが、コミュニティに溶け込むためにコツコツと信用を積み重ねていた。
しかし、ある日のホームルームで、中田さんはPROGRESSの月額費を5,980円から980円に大幅に下げると仰った。
その場のメンバーの多くが動揺した。
高額な月額費は、ある種の結界の役割を果たしていると思われたからだ。
今後、大量の新規メンバーの入会と同時に、治安の悪化が懸念された。
その直後に、自称サイコパスの大立ち回りだ。
―――だから反対だったんだ、中田さん。
「ちょっとYouTube始めようと思ってまして」
ヘラヘラと笑う眼鏡の男の発言を、僕はコメントも出来ず、苦虫を嚙み潰す思いで聞いていた。

『ぼくとササタニヤスヒコ』

ようやく馴染んできた居心地のよいコミュニティが変化してしまう…。
そんな不安は、まさに的中した。
ササタニヤスヒコ以外にも、僕より後から入会したメンバーたちが次々とTV配信を始め、その才能をいかんなく発揮していった。
それに比べて、僕には特に秀でたスキルなんてなかった。
常に焦っていたし、いつもTV配信に挑戦しようとしては、怖くて諦めていた。

それでも5月19日、ようやっと自己紹介動画を投稿することが出来た。
それまで他のメンバーの配信に、恐る恐るだがコメントをして、少しずつ交流を重ねていったおかげで、反響が大きかった。
「ようやっと岡本さんのお顔を拝見することが出来ました!」
まだ、「アイコン、めっちゃ大事」文化がなかった頃だ。
新しいコミュニティに参加する恐怖から、僕はサングラスをした写真をアイコンに設定していた。
しかも、精肉店だとアピールをしたくて、牛の角の形をした謎のサングラス。
既存メンバーからすれば恐怖でしかないのだが、当時の僕はイケてると思っていた。
実際には、想定の20倍ぐらい大不評だったことを後に知り、今ではいい笑い話である。
その時点ではそんなこと知る由もないのだが、沢山のメンバーがコメントしてくれたことが嬉しかった。
一人を除いて。
実はこの自己紹介動画に、一番最初にコメントしてきたのがササタニヤスヒコだったのだ。
彼は既存メンバーに対して、異常な速度で距離感を詰めていった。
さすがに公のコメント欄で、無視する訳にもいかない。
無難に返信をした。

さて、その後、僕とメンバーの交流は更に加速した。
それまでのコメントのやり取りの積み重ねがあったので、ありがたいことに、TV配信に何度もお誘いいただいた。
本当に面白い番組が次から次へと生まれていき、毎日スマホに噛り付いていた。
PROGRESSにおいてメンバーは、一方的にサービスを受け取るお客様ではない。
あくまでも、主体的にコミュニティへ参加することが理想の、組織の一員だ。
だからこそ、自然発生的に『24時間TV』のような大型企画が生まれる。
https://pgpub.space/wiki/progress-wiki/24%e6%99%82%e9%96%93%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%83%ac%e3%82%b9tv/

ササタニヤスヒコは、ここでも大活躍だった。
僕は入会してすでに三ヶ月経っていたが、古参ビギナーの面をして、『ビギナークラス特別番組 新人さん、いらっしゃい!』のMCを務めさせていただくことになった。
https://www.facebook.com/groups/574803796465423/permalink/622102015068934/

決まった以上はやりきるしかない。
配信の数時間前まで、会社のPCで原稿を書き上げてプリントアウト。
起こりうる展開などを予想しながらリアクションの練習をした。
他のビギナーメンバーに「大丈夫! 楽しんでいきましょう!」と笑顔で発破をかけたが、あれは僕自身に対して言い聞かせていただけだ。

芸能人への憧れにも似た感情を抱きながら、”TVの向こう側”のPGメンバーと同じステージに立った経験は、非常に刺激的だった。
対して彼は、その有り余る才能を惜しげもなく活かしていた。
経験も年齢もはるかに上のメンバーに物怖じせずにダメ出しをしていく。
番組や企画をよくするためとは言え、普通は出来ることじゃない。
その上、最後には意見した相手をきっちりとフォローして、これ以上ないほど輝かせていた。

いけ好かない男だ。
でも、とてつもなく優秀で、見習うことの多い男でもあった。

それからササタニヤスヒコは、僕たち岡本夫妻のことが気に入ってくれたのか、よく絡んでくれるようになった。
お互いのTV配信にコメントし合ったし、Twitterでも交流した。
4日間にわたる『新旧四天王対決』という大型企画のMCにも、岡本夫妻を推薦してくれた。
彼はどんどんヒットコンテンツを生み出していき、リアタイ視聴者が120人を超えるモンスター番組もあった。
今では当たり前となった、事前にTV番組のサムネを作ってTwitterで告知する文化も、彼が作り出した。
いつしか毎日のようにリモートで通話をしたり、ゲームをするようになった。
たびたび、突然思いついた企画に、いつの間にか出演前提で話を持ってきたりもした。
「ダンナァ、ダンナァ! 仕事取ってきたで!」
「お前はいつから俺のマネージャーになったんだよ!(笑)」
才能あふれる彼が、僕を認めてくれることが嬉しかった。
彼についていくのは簡単ではなかったが、期待に応えられるように全力で食らいついていった。
たくさんの刺激を受けたことで、これまでのように誘われてばかりでなく、自分で企画を発案したりするほどの熱意も生まれた。
楽しい日々だった。

2020年5月3日
ササタニヤスヒコ PROGRESS TV初配信
「ちょっとYouTube始めようと思ってまして」
ご存じの通り、彼が実際にYouTubeを始めたのは、それからかなり後だ。
あれだけPROGRESSで大活躍できる彼でも、YouTubeで勝負をすることは怖かったのかも知れない。
僕もしょっちゅう、彼にやったらいいと勧められる。なんなら、初めての自己紹介動画のコメントにもそう書かれていた。
でも今の僕には、とても怖くてできない。
だが違う形で、リアルの世界をこれまでより勇気を出して戦えるようになったのは間違いない。

そして昨日、彼のYouTubeチャンネルは1000人を突破した。
その報告のTV配信で、彼が言っていた言葉と想いだ。
2021年3月23日 PROGRESS TV
https://www.facebook.com/100002191621135/videos/3900056610077355/
「PROGRESSでも面白いことできる人は、YouTubeでも勝てるぞってのをみなさんにも見せようかなって。
そう勝手に(PROGRESSを)背負ってやっていた。勝手にね。
僕が外の世界でコケたらダメだろうって。YouTubeやりたいって人も多いから。
PROGRESSでイキらせてもらってる僕が外でコケまくったら、やっぱダメじゃんってなったらちょっと悲しいんで。
だから一応頑張ってやろうって思ってやってたんですけども。
まあ、二ヶ月で1000人達成することが出来たんでね。
まあ、みなさん…、やれば! 行けるぞ!ってのを見せられたんじゃないかなと」

配信の前日、彼はこのような記事を投稿している。
2021年3月22日 PROGRESS PUBLIC
『エモい。エモエモポエポエ丸。エモ着火ファイヤー。そしてエモゾンビ化する人』
https://pgpub.space/3759/
要約すると、「エモを振りまいて、周りを強制的にエモい空気にするな、エモゾンビよ」である。
(なぜそんなことを言ったかは、ぜひ元の記事を最後まで読んでほしい)

さてここで、再び2020年5月3日の初配信に戻ろう。
19:00~
https://www.facebook.com/100002191621135/videos/3011758428907182/
「エモさが足らない!
エモさが足らないと思ってるんスよね、自分には!
エモさを伸ばしていきたいと思ってるんで。
ぜひ、エモさをください、僕に」

11か月前、ササタニヤスヒコは”エモ”を渇望していた。
そして今、「周りを強制的にエモい空気にするな」とのたまう男は、「自分は現在、エモの過剰摂取状態である」と早口にまくし立てていた。
誰がどう見たって、一番のエモゾンビは彼だった。
PROGRESSで十分すぎるほど、エモを貰えたようだ。

ササタニヤスヒコは、才能あふれる男である。
だが、いくら才能があったとしても、人は誰しも完璧ではない。
彼の物怖じしない言動には、いつだって肝を冷やされる。
どこまでも末っ子気質で、みんなを笑わせたくて、自分に注目を集めたがる。
適切でない行動をしてしまうこともあるが、彼自身、自分の衝動を止められないことに時として悩んでいる節も見え隠れする。
これからも、どこかで調子に乗ることがあるかも知れない。
だが、これもまた、彼とPROGRESSから学んだことだ。
人は完璧じゃない。
そして僕もまた、完璧じゃない。
不完全を認められないで辛い時は、そっと休めばいい。
誰もが人生で、学んでいる最中なのだ。
そしてPROGRESSは、学ぶには最高の学校だ。

ぼくはササタニヤスヒコが嫌いだった。

でも、そんな相手でも親友になれることを教えてくれた。
これからも、そんな親友を増やしていきたいと思っている。
最後まで読んでくれてありがとう。

以上、エモ着火ファイヤー状態のササタニヤスヒコに、ダメ押しのエモを注いで、エモゾンビにしてやるためのコラムでした。

―――中田さん、あの時に値段改定してくれてありがとうございます。
おかげで、沢山の親友と出会えました。