※自己開示系コラムです。家族関係に関する過去の悩みを書いています。
また、努力をして学び続けることを是とした、マッチョ思想の内容です。
そのような文章に不安・不快感・ストレスなどを感じる方は、お読みにならないことをお勧めします。
怒りの一次感情は、悲しみだという。
それならば確かに、その人は傷ついていた。
「ふっざけんなよ! ノートをタダで置いてたら見に来ねえし、有料にしたら高いっていうし、捨てたら怒るし…。なんなんだ! どうしたいんだよ!」
2021年4月24日
中田さんは、もがき苦しんでいるように見えた。
『PROGRESS――前進』
誰も引き止めないでくれ。俺の歩みを止めないでくれ。
そう名付けたはずの、みずからのサロン。それなのに。
何十、何百もの腕が、中田さんの体にしがみついているように見えるときがある。
常人が一歩進んでる間に、中田さんは三歩先を行く。
だが、そのたびに引きずり戻される。
その腕は、中田さんに触れられるほど近い距離を保ちたがるのに、文字通り足を引っ張りたいのだろうか?
いや、違う。
その人たちもまた、咽び泣いているからだ。
溺れている人が必死になり、救助に来た人に無我夢中でしがみつく。
結果的に二人とも溺れるか、助けを求める人の手を振り払うか。
悩んでる間にも、喉元に絡みつく腕は、どんどん食い込んでいく。
中田さんを通して、そんな嫌な感覚を、思い出していた……。
HR前に受信したメッセージを、ちらりと見た。
「元気にがんばっていますか」
父の、友人のお方だ。
「三年が早いね。心の中では元気な彼が生きています」
4月24日。父の命日。
忘れていた。正直、思い出したくなかった。
だが、その日は毎年やってくる。
たとえ自分が、成長の歩みを止めていようとも。
『それでも、前へ / 岡本裕樹』
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